まずはこの文章を読んでください。
- 小学校に入って、学校教育になじめずに3ヶ月で学校に行けなくなった。
- 作曲家になった後、難聴がひどくなりほとんど音が聞こえなくなった。
普通に考えたら、どちらもショックですよね。
でも、一見悪いことのように思えることでも、悪いことだとは言い切れないんです。
①と②どちらの人も、この経験があってこその偉業を成し遂げています。
さあ、もうわかった人もいるかもしれません。
①はエジソン、②はベートーヴェンです。
この記事では、
物事には良いも悪いもない
「何が起こったか」より「それをどう考えるか」が重要
についてお伝えします。
物事の「良し悪し」を決めるのは自分
私たちは、今まで生きてきた価値観で、物事の「良し悪し」を判断しています。
でも、その物事は「ただそうなった」という事実だけで、実は良いも悪いもなく、私たちが勝手に良い悪いと思っているだけかもしれないのです。
下の動画はTEDトークでのヘザー・ラニエが講演で、
物事の「良し悪し」は思い込みに過ぎないのではないか、あるがままをそのまま受け入れることについて話してくれています。
(日本語字幕あり)
ヘザーが冒頭で話していたのは『人間万事塞翁が馬』の話ですね。
国境の砦の近くに馬の調教に長ける老人(塞翁)がいた、
飼っている馬が胡人(国境外の異民族)の土地に逃げ、近所の人々は同情したが、塞翁は「どうしてこれが良いことにならないだろうか」と言った。
数ヶ月してその馬が、胡人の駿馬を連れて帰ってきた。近所の人々は祝福したが、塞翁は「どうしてこれが不運にならないだろうか」と言った。
息子がその馬に乗り足の骨を折る大怪我をした。近所の人々は同情したが、塞翁は「どうしてこれが良いことにならないだろうか」と言った。
一年して胡人が国境を越えて攻め入ってきた。国境の働き盛りのものは戦争に駆り出され、十人のうち9人の者が戦死した。塞翁の子は戦争に駆り出されず命を永らえた。
一見、不幸に思えることでも幸せにつながったり、また逆もしかりで、それだけで物事の「良し悪し」を判断することができないたとえです。
エジソンは学校に行く代わりに、自宅でいろいろな実験に没頭し、のちに蓄音機や白熱電球など1,300もの発明を生み出しました。
(エジソンは、学校に行けなくなって、「やったー!好きなことが思いっきりできる~!」と思っていたかもしれません)
ベートーヴェンは、口にくわえたタクトでピアノの振動を歯で感じ取り(骨伝導)、大きな振動、響きが豊かな楽器を使い、高・低に広い音域で(聴覚障害者にとって”より聴こえやすい”)、「第九」をはじめとする名曲を生み出しました。
(ベートーヴェンは、音が聞こえないということよりも、どうやったらいい音が作れるかだけを考えていたのかもしれません)
私たちは何か起こると、表面上で「良し悪し」を決めてしまいますが、
そこで「自分はもうダメだ」とあきらめるのも、これを次に活かすのもあなた次第。
ただ「そうなった」事実を勝手に脚色して、話を現実よりも大げさにしているのは自分なのです。
(何か悪いと思うことがあったら、「自分は運がない」とか、「こうなったらどうしよう」とか、もっと悪いことまで考えていませんか?我ながらすごい想像力ですよね!)
私たちは世界を悲観的にとらえすぎ
ここで質問です。
質問1:現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?
A 20% B 40% C 60%
質問2:世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?
A 低所得国 B 中所得国 C 高所得国
『ファクトフルネス』より
答えを見る前にぜひ考えてみてください。
ひょっとしたら、質問1も2も「A」と答えた人が多いかもしれません。
実は、今や低所得国に住んでいるのは、世界人口の9%しかおらず、その低所得国の60%の女子は小学校を卒業しています。
なんとなく私たちは世界が高所得国と低所得国に分かれていて、まだ大変な暮らしをしている人が多いと思っていますが、世界で最も多くの人が住んでいるのは「中所得国」で、人類の75%を占めています。
[ 答え 質問1:C 質問2:B ]
ベストセラー『ファクトフルネス』には、本の冒頭にこのような12個の質問があるんですが、ほとんどの人が間違います。
これは頭の良し悪しに全く関係なく、ノーベル賞受賞者や各分野の専門家よりも、ランダムに選ぶチンパンジーのほうが正解率が高いんです!(筆者もチンパンジーに負けました…)
なぜでしょう?
どうやら私たちは、ネガティブ本能、恐怖本能など、脳の機能によって、思い込みで歪んだ世界の見方をしているんです。
あなたは次のような先入観を持っていないだろうか。
「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてしまう」
『ファクトフルネス』より
人間はそもそも危険を回避する本能から、ポジティブな面よりもネガティブな面に注目しやすいのに加え、いい話よりも、悪いニュースの方が圧倒的に広まり、報道されます。
それで、「世界はどんどん悪くなっている」と勘違いしてしまうのです。
もちろん、いまだ問題はまだまだあります。
でも、本書にも掲載されているデータのように、核兵器の数は年々減っているし、オゾン層の破壊や飢餓、災害による死者数も減っているんです。
(ニュースにならないから知られていないだけ)
貧困率もかなり下がり、世界の平均寿命も延びていて、私たちの知らなかった良い変化がたくさん起こっている、つまり、実際には「世界はどんどん良くなっている」んです!
それでも私たちは、世界を事実どおりに見ることもできずに、本能による思い込みのせいで、悲観的な世界の見方をしているのです。
(Amazonの試し読みで、冒頭の質問と答えが読めるので、確認してみてください)
思い込みのすごい力
ここにある実験の話があります。
第二次世界大戦前に行われた実験の話しです。
ヨーロッパのある国にブアメードという名の死刑囚がいました。
彼はある医師から医学の進歩のために、危険な実験に協力してほしいと頼まれたのです。
人間の全血液量は体重の10パーセントが定説になっているが、我々は10パーセントを上回ると考えており、それを証明するのに協力してほしいというものでした。
彼はその申し入れを受け入れ、まもなく実験が開始されたのです。
目隠しをされてベットに横になったベアメードは、血液を抜き取るために足の全指先を小さく切開されました。
足元には容器が用意され、血液が滴り落ちる音が実験室に響き渡るのでした。
ブアメードには、一時間ごとに累積の出血量が告げられました。
やがて実験開始から5時間がたち、総出血量が体重の10パーセントを超えたと医師が大喜びしたとき、ベアメードはもう息を引き取っていたのです。
ところが、この実験では血液など抜いていなかったのです。
彼には水滴が落ちる音を聞かせ、体内の血液が失われていると思い込ませただけなのでした。
ベアメードは体中の血液が失われたと信じ込んでいたのでしょう。その結果、命を落としてしまったのです。
病は気(氣)から?-Ⅲ
ビックリですよね!
体には何の問題もないのに、ただ思い込んだだけで死んでしまうなんて。
もう一つ身近な例を挙げましょう。
2005年にクリフトン・メドア博士が科学誌に発表した論文では、多くの臨床例を基に、この問題を重点的に取り扱っています。そこには末期の肝臓がんと診断され、余命数カ月と宣告された患者の例が報告されています。
その患者は、告知後、がっくりと気落ちし、みるみる体力を失い、告知された余命すらまっとうできず死にました。しかし、驚いたのはその死後のことです。実は医師の診断が間違っていたことがわかったのです。患者はがんなどにはかかっていませんでした。彼は「自分はがんで死ぬ」と信じたせいで死ぬことになってしまうのです。
人間は「思い込み」だけでも死んでしまう!
他にも、「自分は心臓病にかかりやすい」と信じている女性の死亡率は、そう信じていない女性の4倍にのぼったという研究もあるんだそう。
例え身体に問題がなくても、思い込みで死んでしまうほど、思い込みの力は強力なのです!
逆にいい例もあります。
「プラシーボ効果(プラセボ効果)」という言葉を聞いたことがありませんか?
Q.プラセボ効果とは何ですか?
効き目のあるくすりを服用していると本人が思い込むことによって、病気がよくなることがあります。
プラセボ(偽薬)と言う、効き目ある成分が何も入っていないくすりを服用しても、患者さん自身が、自分が飲んでいるくすりは効き目があると思い込むことで、病気の症状が改善することがあります。これをプラセボ効果と呼んでいます。
プラセボ効果とは何ですか?
ただの小麦粉だったとしても、病気に効果がある薬だと言われて飲んでいたら治ったというような例を聞いたことがありませんか?
他にも、ビジネスで成功している人は「必ず成功する」というような根拠のない自信を持っている人が多かったり、思い込むことで人生が良くもなるのです。
大リーグで大活躍している大谷翔平選手も小さい頃から「プロ野球選手になる」と周りの人たちにずっと言っていたそうです。
なりたい、なれたらいいな…ではなく、「プロ野球選手になる」です。
「思考は現実化する」と聞いたことがあるかもしれません。
「自分はいつもツイてない…」と思えば、そうなり、
「自分はいつもツイてる!」と思えば、そうなる。
これは形だけ思ってるだけではそうなりません。
心から自分がそう信じていれば(思い込んでいれば)、
まさにその通りの現実になるのです。
まとめ:どうせなら良い方へ思い込もう
ここまで、
本来はどんな物事にも良し悪しはないのだけれど、
人は本能的にネガティブに考えがちであること、
思い込みの力は生死にかかわるほど強力なことをみてきました。
今あなたがどんな状況にいたとしても、
それ自体があなたの未来を決定づけることは何もありません。
あなたが何を信じ、どう考えるかで人生が変わるのです。
例え何かに失敗しても、
「どうせ自分はいつも失敗する」と思うか、
「今度は違うやり方でやってみよう」と思うか、
その事実をどう考えるかはあなた次第。
それで人生が変わっていくのです。
だったら、いい方に思い込みの力を使うことは可能なはず。
「自分はいつもツイてる!」
「最後は必ずうまくいく!」
例え何か大変なことが起こったとしても、塞翁が馬のように
「次は良いことが起こる!」と思っていれば、そうなるに違いありません。
こんなことが気になったら、ぜひ参考にしてくださいね。
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