どうして自分が嫌いになったり、自己嫌悪したりするんでしょう?
それは、こうありたいという自分の理想と現実にギャップがある時、自分をジャッジしているから。
言い方を変えれば、自分を責めたり、自分を裁いているからです。
すればするほど、厳しければ厳しいほど、苦しくなります。
この記事では、
どうしてジャッジするようになったのか
このクセをどう手放せばいいのか
についてお伝えします。
監修|心理カウンセラー・産業カウンセラー 杉本まき
タップできる目次
自分をジャッジするって?
鏡で自分を見るたびに「なんかイケてない…」「ここがイヤだ」とか、
誰かに何か言われたり、周りのできる人を見て、「自分はダメだ…」「どうせ自分なんか…」と落ち込んでいませんか?
もしあなたがよく自己嫌悪に陥ったり、「自分が嫌だ」と思っているなら、自分で自分を厳しくジャッジしている状態です。
ジャッジはそのまま「判断」という意味ですが、自分をジャッジするとは、
自分の理想や「こうあるべき」という自分の信念をものさしに、物事の良し悪しを決めつけることです。
そして自己嫌悪している場合、たいていが否定的なジャッジをしています。
いってみれば、あなたの中にいつも自分にダメ出しする厳しい裁判官がいる状態。
この裁判官は、他の人とあなたを比べたり、あなたは〇〇ができない、ここが悪い、ここが劣ってると言っていませんか。
「なんでこんなこともできないの?」
「自分にはそんな能力はない」
「どうせ失敗するに決まってる」…
このような声がいつも頭の中にあると、この否定的な考えが本当だと思い込んでしまうかもしれません。
そして声を聞けば聞くほど、その声はますます強くなります。
もしその声が、「自分には価値がない」「能力がない」「魅力がない」と言っていたら、やがてそう信じるようになってしまいます。
自分のジャッジは思い込み!?
実は、究極なことを言ってしまうと、どんなことも良し悪しや優劣はありません。
というより、つけられないのです。
なぜなら見方によって、変わるからです。
「えっー、そんなことないよ!」と言い返したくもなりますよね…、今まで良し悪しや優劣をつけられてきたのですから。
この社会には、便宜上なんらかの評価をする必要があったり、時代や文化が作り上げた価値観や、指標となるような基準がありますが、
実はそれも一つの見方にすぎず、それが全てではないのです。
短所も見方を変えれば長所になるし、その反対もしかり。
「ピンチはチャンス」だったり、「失敗は成功のもと」だったり、
どんなことも、ものの見方によってどうにでも解釈できるのです。
だったら自分を苦しめる見方を変えてみませんか。
自分の中にいる裁判官の声は、自分の「思い込み」や周りからの「刷り込み」でできていて、従順なあなたが声を聞けば聞くほどのさばって、強くなってしまった妄想です。
もうあなたは自分をジャッジしなくてもいいのです。
なぜ自分をジャッジするようになったの?
では、自分にダメ出しする裁判官の声はどこからきたのでしょう?
その代表的な要因を、心理カウンセラーの杉本まきさんに教えていただきました。
では、さっそく見ていきましょう
幼少期の親との関係
自分を否定的にジャッジしてしまう原因として、最も多いのはやはり養育者との関係です(通常は親ですので、ここでは親で書き進めます)。
小さい子供にとって親は絶対です。その親から常に否定的な言葉がけをされたり、条件を満たさなければ愛情が得られなかったとしたら、正常な自己肯定感が育たず、常に自分を否定的にジャッジしやすい性格になってしまいます。
特に9歳くらいまでは、自分にとって必要な情報とそうでないものを振り分ける大人の意識ができていないため、潜在意識にダイレクトにアクセスしてしまうと言われています。
潜在意識はとても素直で無防備。言われたことをそのまま受け入れてしまうので、例えば「お前はダメな子だ」と言われると、「ああ、自分はダメな子なんだ」と素直にそのまま潜在意識の中に保存してしまいます。
そしてそれは大人になっても、なかなか消えることのない心の傷になることがよくあるのです。
足りないところばかり指摘する親
日本の親に一番多いのが、いいところをほめるよりも、足りないところばかり指摘するタイプ。これは学校の先生にもよく見かけます。
そういう環境だと、自分には何もいいところがないと思い込むことは容易に推測できますよね。
理想の押し付け
自分の理想の子供に育てたいという思いや、自分のプライドを満足させるのに子供を利用していることもあります。
「こうあるべき」「こうするべき」という刷り込み、例えば「男の子/女の子はこうあるべき」とか「お兄ちゃん/お姉ちゃんなんだから」などという言葉も、そうでなくてはいけないという思い込みにつながり、子供は親を喜ばせるために期待に応えようと一生懸命努力します。
しかしその期待に応えられなかったとき、親を失望させてしまう自分はダメな子だと自分に対して否定的になってしまうのです。
過干渉
過干渉で過保護すぎる親の場合も、自分で何かを乗り越える体験の少なさから、大人になっても自分に自信が持てず、ちょっとしたことで自己嫌悪に陥りやすくなります。
もし、あなたのご両親にそういう傾向がみられるとしたら、あなたはその影響を強く受けてきたと思われます。
しかし、そのご両親もまたその親や育った時代の影響を強く受けてきたことも事実。人は自分が受けてきたことをそのまま人にやってしまう傾向が強くあるからです。
そのように一歩下がって大きな視点から見てみると、少し違った見方ができるかもしれません。
また、あなたがそれを克服できた時には、ご自分だけでなく、代々続く負の連鎖を断ち切ること、未来を救うことにもつながるのです。
日本の文化や教育の影響
日本人に何かをさせるには「みんなやってますよ」というのが一番と言われるほど、人と同じであることが大切で、大人の言うことをよく聞き、集団の中で和を乱さないことが良い子とされる風潮が強くあります。
そのうえに謙遜の美徳や能ある鷹は爪を隠すなどという文化もあいまって、せっかく良いものを持っていても目立つと叩かれ、できることを隠すうちにいつの間にか自分はできないと思い込んで自信を無くすことに。
上記以外にも、いじめや極端な失敗、恥ずかしい経験などで自信を無くしてしまった場合、その体験がトラウマとなって、いざという時に前に出られない、自分はダメだと否定的にジャッジしてしまうことが多くなるでしょう。
自分をジャッジしてしまうクセの対処法
では、自分のジャッジを手放すには、どうすればいいでしょうか。
簡単です。
「あ、自分をジャッジしてる」と気づくだけでいいんです。
そして、気づいたら、やめる。
もうあなたは裁判官の声を聞かなくてもいいし、
他の見方もあることを知っていますよね。
今まで無意識にしていたことでも、気づいたらそこで思考をストップすることができます。
気づくたびに、これをくり返すだけです。
- ジャッジをしていることに気づく
- やめる
- これをくり返す
ここで「ジャッジしちゃいけない」とか、「また、ジャッジした」とか責める必要はありません。
気づくたびに、やめる。
気づくたびに、淡々とリセットするだけです。
気づいたらやめるを繰り返すことで、脳内にできたジャッジの回路を使わなくなり、ある日ふっとそういう考えを手放している自分に気づくでしょう。
気づいてもやめられない人は
>>【自己嫌悪の対処法】もう克服しなくていい!自分でループから抜け出す3ステップ
自分も他人もジャッジしなくていい
実は自分をジャッジしなくなると、他人もジャッジしなくなります。
もし、他人にジャッジしていると気づいたら、同じように「 気づく → やめる 」をしてみてください。
自分も他人も「こうあるべき」という姿に縛られて、ピリピリするより、
いろんな側面も許して楽しんだ方が、きっと自由で気分もいいはず。
自分のおかしなところも、あの人の変なところも、ワハハと笑ってしまいましょう~!
【自己嫌悪診断】心理カウンセラー監修テストで今すぐセルフチェック!
監修|心理カウンセラー・産業カウンセラー 杉本まき
2011年より心理カウンセラーとして、主に自己肯定感の低さから生きづらさを感じるアダルトチルドレン気質を改善することで、人間関係(恋人、夫婦、職場)の修復に取り組む。認知療法にイメージ療法、脳科学を組み合わせ、心の傷を癒しながら実践で自己改善を目指す。対応件数4,000件以上。
セラピー&カウンセリングルーム:「はぁとすとりんぐす」設立
こんなことが気になったら、ぜひ参考にしてくださいね。
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